研究概要
Ⅰ.金銀パラジウム合金(銀歯)に代替する新規歯科材料の開発
むし歯の治療では、金属やセラミックス製の被せ物などを使用して歯を修復します。日本の歯科医療では、金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯)が保険適用材料として使用されていますが、審美性が低く価格も高騰していることから、代替材料が求められています。そこで我々の研究グループでは、金銀パラジウム合金の代替材料の開発に取り組んでいます。具体的には、ポリマー含浸セラミックスと呼ばれる材料に着目しています。我々の開発したポリマー含浸セラミックスは安価であるだけでなく、歯質のエナメル質と同じ硬さをもっており、歯の修復材料に適していると考えられます。現在は、更なる改良を行い、実用化することを目標としています。研究目標が達成できれば、医療費削減に大きく貢献できます。
Ⅱ.次世代インプラント(歯根膜付着型インプラント)の開発
抜歯した後の治療としてインプラントが行われます。現在のインプラントは、ネジ形状のチタンを顎骨に埋入し、骨と結合させることで歯の機能を回復させます。現在のインプラントは優れた技術ですが、元通りの歯の状態に戻るわけではありませんので、自分の歯と同じように咀嚼できるわけではありません。そこで我々の研究グループでは、抜歯下に直接移植可能な新しいインプラント体の開発に取り組んでいます。新規インプラントは、歯根膜付着型インプラントと呼ばれる技術です。歯根膜付着型インプラントは、歯根と顎骨の間の軟組織である歯根膜に結合することで、天然歯と同様の機能を回復させます。つまり、歯根膜付着型インプラントは、自分の歯で噛んでいるような感覚で食事ができると考えられます。研究目標が達成できれば、超高齢社会の健康寿命を伸ばすことに貢献できます。
自己PR
セラミックスや有機無機複合材料をベースとした歯科材料および生体材料に関して研究しています。歯科医師と協力することで、臨床研究も行なっています。大学生、大学院生、研究者に対する学術的な講演だけでなく、歯科臨床に役立つ知識について歯科医師に対して講演できます。また、材料メーカーとの共同研究実績も多数あります。講演依頼や技術相談などございましたらご連絡ください。
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