公益財団法人北九州産業学術推進機構
理事長 松永 守央
地域振興の頭脳となるべき知的基盤を整備し、新産業の創出や地域産業の高度化そして人材育成を図る狙いで、平成13年(2001年)に北九州学術研究都市(学研都市)が誕生しました。公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS<フェイス>)も、地域の大学・研究機関と産業界の連携の支援機関として同時に創設されました。
現在、学研都市には、北九州市立大学国際環境工学部・大学院国際環境工学研究科、九州工業大学大学院生命体工学研究科、早稲田大学大学院情報生産システム研究科、福岡大学大学院工学研究科の1学部4大学院、その他13の研究機関や47社ほどの企業等が集積しています。開設時には約300人だった学生数は、現在約2,500人となり、そのうち留学生は約700人と、まさにアジアを中心とした各国からの頭脳が集まるキャンパスとなっています。また、大学教員・企業の研究者等を含めると、約3,500名の人々が、教育・研究活動等を行っています。
FAISは、この学研都市のキャンパスの一体的運営や学研都市進出大学等の研究シーズと地域企業などのニーズをつなぐコーディネート活動をはじめ、産学連携による研究開発への助成、研究成果の事業化支援などに取り組んでいます。さらに、文部科学省や経済産業省等の事業を活用した研究開発プロジェクトや人材育成プロジェクトも数多く実施しており、学研都市における国等の外部資金の獲得額は、平成29年度には約14億円と学研都市開設時の平成13年度の約3倍に達しています。また、「アジアに開かれた学術研究拠点」を目指し、アジアを中心とした海外大学・研究機関やサイエンスパークと交流協定を締結し、大学等との共同研究活動に対する支援も行っています。
こうした中、FAISは、平成30年4月、公益財団法人九州ヒューマンメディア創造センター(HMC)と統合しました。この統合により、ものづくり分野などに関して企業や大学等が有するシーズ等に精通したFAISと、情報通信分野で優位性を持つHMCのそれぞれの強みを融合し、ロボットやIoT(モノのインターネット)の活用等による地域企業の生産性向上に向けた支援をさらに強化します。
また、FAISでは、今回の統合に合わせ、平成30年度から5年間の取り組むべき施策や目標を定めた第5期中期計画(平成30年度~平成34年度)を策定しました。今後、これまでの産学官連携による研究開発や学術研究の推進に加え、新中期計画を踏まえた自立できる産業づくりのための各種施策の推進等により、生産性の向上や産業技術の高度化、活力ある地域企業群の創出・育成に寄与すべく、取組みを実行してまいります。