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公益財団法人北九州産業学術推進機構
理事長 松永 守央

 地域振興の頭脳となるべき知的基盤を整備し、新産業の創出や地域産業の高度化そして人材育成を図る狙いで、平成13年(2001年)に北九州学術研究都市(学研都市)が誕生しました。公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS<フェイス>)も、地域の大学・研究機関と産業界の連携の支援機関として同時に創設されました。

 現在、学研都市には、北九州市立大学国際環境工学部・大学院国際環境工学研究科、九州工業大学大学院生命体工学研究科、早稲田大学大学院情報生産システム研究科、福岡大学大学院工学研究科の1学部4大学院が立地しています。開設時には約300人だった学生数は、現在約2,400人となり、そのうち留学生は約800人と、まさにアジアを中心とした各国からの頭脳が集まるキャンパスとなっています。また、環境・エネルギー、ロボット、次世代自動車、半導体など多様な分野の研究開発を進める企業や研究機関等が集積しており、学生・大学教員・企業の研究者等合わせて約3,500名の人々が、キャンパス内で教育・研究活動等を行っています。

 FAISは、この学研都市のキャンパスの一体的運営や、学研都市進出大学等の研究シーズと地域企業などのニーズをつなぐコーディネート活動をはじめ、産学連携による研究開発への助成、研究成果の事業化支援等を行っています。

 また、地域企業の経営課題の解決に向けた伴走型の支援にも力を入れています。令和4年度に運営を開始した北九州市ロボット・DX推進センターでは、人材不足やアナログな業務工程など地域企業の抱える幅広い課題に対し、個別の企業の状況に応じてワンストップで相談に応じる体制を整え、ロボット、IoTの導入や人材育成の支援を通じて、生産性の向上や産業の高度化を推進しています。

 さらに、半導体や次世代自動車など、成長が見込まれる分野における研究開発や高度人材の育成にも精力的に取り組んでいます。

 デジタルトランスフォーメーションや人口知能などの急速な発展、カーボンニュートラルの世界的な広がりを背景に、急激に変化し始めている産業構造、国際情勢の変化に伴うエネルギーや経済安全保障などの問題に対応していくため、「知」を活用した産業・学術の振興が一層重要になっています。

 令和3年に20周年の節目を迎えた北九州学術研究都市およびFAISは、次の未来を見据え、さらなる「知」の集積とともに、北九州地域の産業技術の高度化と豊かな脱炭素社会の実現に向けてチャレンジし続けてまいります。