FS2(平成28年11月からの取り組み)
1)環境・エネルギー拠点形成会議
・ 有識者・大学・FAIS・北九州市で構成した「環境・エネルギー拠点形成会議」を設置し、
3回の会議を開催しました。
これにより、次のことを達成しました。
Ø 北九州リサーチコンプレックスFSの取組み推進の意義と有効性を確認したこと。
Ø 研究活動を核として、企業活動、北九州市との政策との有機的な連携・融合により、
環境・エネルギー拠点形成を進めていく方針を打ち出したこと。
Ø 安定した財源と人材を確保し、長期的な視点で取り組んでいく道筋を確認したこと。
2) 事業推進研究会の設置・運営
2)-1 エネルギー研究会
・ 地域エネルギー・マネージメント技術の研究開発、実装、事業化等を進め、
北九州学術研究都市及び北九州市の地域エネルギー・マネージメント拠点としてのブランド化を図るこ
とを目的に、エネルギー研究会を開催しました。
・ この結果、次のことを達成しました。
Ø エネルギー研究会を開催したこと。
Ø 北九州市の地域電力会社である北九州パワーの事業実態に即して、地域エネルギーの体系、
課題について整理、共有化を行ったこと。
Ø 先進地視察調査(宮古島市)を行い、宮古島市、及び、
同エリアのエネルギー・マネージメント事業者である「すまエコ」と、
再生可能エネルギー発電のコントロール、デマンドサイドのピークシフトの方法と
事業化可能性について意見交換を行ったこと。
Ø 北九州パワーの実データに基づく分析・特性整理、国の省エネルギー政策の課題等を踏まえ、
サプライサイド、デマンドサイド双方からみた地域エネルギー・マネージメントのあり方と
課題について整理したこと。
Ø ひびきのAI社会実装研究会等との連携のもと、地域エネルギー・マネージメントにおけるAIの
活用方法とその適用可能性について検討・整理したこと。
Ø 本年度の研究会で検討した地域エネルギー・マネージメントにかかる研究課題に対応し、
次年度から有識者等が取り組む研究活動テーマを決定したこと。
2)-2 人間研究会
・ 超低炭素社会の創造に向けた人間行動、人間意識の重要性を鑑み、技術と人間を結びつけ、
人間に関する研究開発、実装、事業化等を進めることを目的として、人間研究会を開催しました。
・ この結果、次のことを達成しました。
Ø 人間の本質的な特性や潜在的なニーズへの対応の意義について共有化を図るとともに、
人間研究と新しい社会づくりの実証拠点形成の連携の重要性を確認したこと。
Ø 研究者ヒアリングを実施し、ニーズの高い研究アプローチを、
①疾患や健康、意思決定・行動変容に関連するファクターの探索を目的とした
「メカニズム探求研究」
②人間の行動変容を促す方法論の研究を目的とした「行動変容研究」
の2つを導出しました。
Ø 企業ヒアリングを実施し、研究分野のニーズを、
①「高齢者」にフォーカスした行動特性・生理特性および行動変容・習慣化に関する研究
② 分野と環境データの影響に関する「健康」にフォーカスした分野
③「嗜好」形成のメカニズムを探求する
の3つに整理しました。
Ø 研究者ヒアリングによる2つのアプローチと、企業ヒアリングによる3つの分野を踏まえて、
研究会で議論を行い、北九州市の特性を生かした研究分野(候補)として、
「職場環境における健康(健康経営)」を特定しました。
また、具体的な研究テーマ(候補)として、
「高齢者の熱中症・ヒートショック予防に向けた行動変容を促す住宅研究」、
「運転特性に影響する要素の環境横断的探索研究」を導出しました。
Ø こうした成果を踏まえ、人間行動、脳科学、人間意識に関して、
技術と人間との融合を目指し、相互の関係性を更に整理するとともに、
実社会における適用性の精度と効果の向上を図っていきます。
<人間研究による新しい社会づくり>
なお、イノベーション創出研究会については、FAISが実施する別事業(地域イノベーション・エコシステム形成プログラム)において、検討します。
3) フューチャーセンターの設置
・ 市民、企業、研究者など多様なステークホルダーが一堂に会して未来の姿を議論し、
新たなイノベーション創出を図る「フューチャーセンター」のあり方や方向性の検討を行いました。
Ø 国内外の先進事例調査
Ø 地域住民・企業・研究者等を交えたトライアルセッションの実施
Ø センター運営人材の育成
Ø 実施結果の報告及びセッションにおける課題の抽出
Ø 次年度以降のフューチャーセンターのあり方、運営体制等の検討
・ この結果、次のことを達成しました。
Ø 北九州地域(主に学研都市)が
環境・エネルギー分野で世界に冠する研究開発拠点を実現する上で、
① グリーン・イノベーションにつながる実証実験事業への地域の住民、
企業・団体等のコンセンサス形成と主体的な参画・協力の促進
② 地域の社会的課題抽出と課題解決につながるプロジェクトの共創・協働の推進
③ 学研都市を中心とするひびきの地区及び社会実験地区(東田、響灘、他)での
産学官民連携の強化、チームビルディングなど新たな社会課題解決方法としての
フューチャーセンターの有効性を確認したこと。
・ 外部専門機関によって、大学研究者・企業・NPO職員等全11名の研修を実施し、議論の進行を行う
イノベーション・ファシリテーターの育成を進めたこと。
・ 上記ファシリテーター育成研修の受講者を中心に、北九州地域においてフューチャーセンターの
取り組みを支援する活動を開始したこと。
・ 北九州学術研究都市において、
「ひびきの小学校に入学した1年生が12年後に通いたくなる学研都市とは?」をテーマとした
トライアルセッションを実施し、拠点地域の将来像を参加型で描いたこと。
4) 実証フィールド・コミッション
・ 北九州市全体を実証フィールドとして整備し、企業・研究機関のあらゆる分野の研究開発を
オーダーメイドで全面的に支援・促進することで研究開発拠点としての価値を高めるために設立する
「実証フィールド・コミッション」の実現を目指し、具体的な制度設計及び事業計画を作成しました。
・ 企業・研究者等へのヒアリングを含む調査を行い、国内における実証試験のニーズや課題、
本地域における実証実施の可能性や必要とされる支援を明確化した上で、コミッションとして
独立運営が可能となるよう制度設計を行いました。
・ 実証実施において必須となるELSI(倫理的・法的・社会的課題)を審査する外部機関設置のための
ガイドライン(案)を作成しました。
・ この結果、実証フィールド・コミッションの機能・体制について、原案を作成することができました。
その内容は、次のとおりです。
5) ブランディング戦略
・ 北九州地域(主に学研都市)が環境・エネルギー分野で世界に冠する研究開発拠点を実現する上で、
次のことを目指して、ブランディング戦略を策定しました。
Ø 内外から魅力を感じられる要素および現状の課題を明確に整理すること。
Ø その課題解決を図ること。
Ø 地域が有する魅力をさらにブラッシュアップする表現・体系手法を明らかにすること。
Ø 外部に対する広報手段、展開の方策等につきその方向を明らかにすること。
・ 基本調査を外部シンクタンクに委託し、中核機関と北九州市が協議を重ね、平成29年度以降のブラン
ディング戦略を策定しました。
・ ブランディング戦略については、FSにおいて実施した各研究会の活動や
実証フィールド・コミッションとの連携を考慮した上で、環境・エネルギー分野における統一した
コンセプトとそれを実行するためのアクションプランを策定、これまで地域が有するリソースとの整合
性を加味しました。
・ その結果、「トリニティ・テクノポリス」としての社会実装をミッションに」を基本コンセプトとし
て、図のように方向を定め、今後の推進を図ることとしました。
6) 国内外ネットワーク基盤整備
7) 環境・エネルギー研究開発拠点に関する国内外調査
・ 次のことを目的として、国内外の調査を行うとともに、その成果を活かし、国内外のネットワーク基盤
の整備を進めました。
Ø 北九州学術研究都市を中心とした北九州地域を世界の環境・エネルギー研究開発拠点として
機能強化を進めるため、国内外の大学・研究機関との共同研究等の連携協力ネットワーク
(プラットフォーム)を構築すること。
Ø 国際的な大学・研究機関間でのインタラクションにより、新たなイノベーションを誘発し、
最先端の環境・エネルギー技術等を提供すること。
・ 具体的には、北九州リサーチコンプレックスとの連携の可能性がある国内外の拠点研究機関等を訪問、
調査、協議し、北九州リサーチコンプレックスへの参画を進めました。
訪問先及び活用した国際会議は、次のとおりです。
Ø (公財)地球環境戦略研究機関(IGES)(東京)
Ø ストックホルム大学(スウェーデン)
Ø ストックホルム環境研究所(スウェーデン)
Ø パリ第7大学(フランス)
Ø シカゴ大学・パリセンター(フランス)
Ø スタンフォード大学(アメリカ)
Ø サンノゼ州立大学(アメリカ)
Ø Apple他企業(アメリカ)
Ø サンフランシスコ市役所(アメリカ)
Ø レジリエント・シティ・サミット(富山市)
Ø APN Meeting-Global environmental change and sustainability
:Technology transfer needs for Asia and the Pacific(神戸市)
・ また、国際的な研究開発のプラットフォーム構築のため、
「超低炭素社会研究拠点プラットフォームに関する北九州国際フォーラム」をFSの総括的意味合いを
含め、北九州学術研究都市で3月30日に開催しました。
・ これらの結果、次のことを達成しました。
Ø 北九州リサーチコンプレックスへの海外大学・国際機関の積極的参画が実現したこと。
Ø 今後の国際的な連携協力の下での「環境・エネルギー分野の研究開発」の基盤(プラットフォ
ーム)の構築がスタートできたこと。
Ø 都市センシングと衛星観測のリンクによる新しい都市環境マネージメントシステム構築に向け
た共同研究の高い可能性が示されたこと(下図)。
Ø 北九州を拠点とする海外大学との共同環境研究がスタートしたこと。
Ø フラットフォームの持続的仕組みとして、北九州学術研究都市内の大学が長年進めている
「海外連携プログラム」を発展的に活用していくことが示されたこと。
<北九州国際フォーラム:プレゼン資料から>
8) 平成29年度以降のプログラム策定
・ 北九州リサーチコンプレックス構想のテーマとして提案した「環境・エネルギー拠点」を築くための、
FAISの中核事業として組織的に推進するための体制整備および次年度以降計画策定を進めました。
・ この結果、ブランディング戦略、環境・エネルギー拠点形成会議、エネルギー・マネージメント研究
会、人間研究会、フューチャーセンター、実証フィールド・コミッション、海外ネットワーク基盤強
化に関して、次年度以降の取組みの方向性とステップ等について、明確化することができました。