FS1(平成28年8月の再提案に向けた取り組み)

<実施結果・達成状況>
 FS拠点採択を踏まえ、中核機関が中心となって、提案機関・参画機関等とともに、外部シンクタンクの協力も得て、様々な調査・検討・実証等を行いました。
 この結果、アドバイザリー・ボードからの指摘(事業構想の抜本的見直し、実証フィールド機能の最大限活用、ソーシャルイノベーションに通じる取組み、規制緩和等社会制度に関する取組み)に取組み、再提案を行うことができました。
 その内容は、次のとおりです。

1)指摘事項に対するFSを通じての結論(取り組みの方向性)
 指摘に対して、ソーシャルイノベーションとは何か、北九州地域としてふさわしいテーマは何かなど、議論を重ね、その結果導かれた取組の方向性は、以下の4点です。
  ・ 北九州RCが目指すものは「超低炭素社会の創造」
  ・ 研究と事業化の架け橋としての実証フィールドの整備
  ・ アジアの研究開発・実証・事業化・人材育成拠点としての地位の確立
  ・ FAISの主体性を発揮する組織体制整備

2
)超低炭素(環境・エネルギー)をテーマとした根拠
  ・ 北九州地域は、「1960年代の公害問題に始まり、循環型社会づくり、省エネルギー対策、
    先駆的エネルギーシステムづくりなど、
    半世紀以上にわたって一貫して環境問題に真正面から取組んできた実績がある」こと
  ・ その結果として、環境エネルギー分野では、「国連、OECDをはじめ国内外の皆が、
    世界のトップランナーとして認めている」こと
  ・ 「環境エネルギー分野で世界とのネットワークを有している」こと
  ・ 「市民をはじめ企業、行政、学術機関など地域が一体となって取組む体制が整っている」こと
  ・ こうした地域の強みを活かし、世界共通の喫緊の課題に取り組むことは重要かつ有効であり、
    世界に誇るリサーチコンプレックスの構築が可能であること。

3)目指すもの
  ・超低炭素社会の創造
     これは、COP21の合意を踏まえた世界共通の喫緊の課題であること、
     また、北九州地域の実績・特性・テーマのインパクト等を勘案したものであること
     からです。
  ・超低炭素社会の創造の意味するところは、次の2つ同時に実現するイノベーション
     □ COP21を踏まえて日本政府で合意された温室効果ガス2050年80%削減を実現する
      社会の創造
     □ 少子高齢化、産業構造の変革等の社会課題を織り込んだ中での豊かなライフスタイル、
      産業の成長を促す社会装置

4)取り組みのキーワード
 取り組むに当たってのキーワード「人」と「現場」。これらの視点から、生産技術、生活支援技術、エネルギー技術を統合。これにより、人が快適性を保った超低炭素型の生活、人と機械の共生による超高効率な生産、それらを支えるエネルギーシステムを実現。

5)取り組みの全体構成と目標

 本プログラムの全体構成のポイントは、22の学術機関、16の自治体・公設研究機関、29の企業、12の金融機関の参画が得られ、総合的な取組体制が整ったことにあります。さらに多くの機関、企業等から関心が示されていました。
 本プログラムが打ち出す環境・超低炭素に関わる広範なテーマは、世界の他事例を見ても独自性が発揮できことを確認しました。

6)異分野融合共同研究の視点
・ CO2の大幅な抑制の実現には、あらゆる部門での革新技術開発と、革新技術を人々が受け入れ、
  使いこなしていくことが必要です。
・ 技術イノベーションと人間社会イノベーションの複合化が命題のソーシャルイノベーションに
  つながります。
・ その視点から研究領域を、
   ①人の活動を効率化する省エネ・省資源
   ②人の活動を支えるエネルギー・インフラ
   ③人が活動を展開する都市・社会システム
  の3つに整理した上で、低炭素電子情報技術、低炭素産業技術、低炭素エネルギー・インフラ、
  働き方と生産システム、生活と社会システムの5分野で研究をスタート。
・ この方針は、北九州市地球温暖化対策実行計画に盛り込まれ、成果は都市政策に反映。

7)異分野融合共同研究の体制
・ インタラクションより相乗効果を生み出す「異分野融合の共同研究体制を構築しました。
・ 各研究の進捗管理、領域間での連関調整等、統合的に研究を進めるために研究運営会議を
  設置することとしました。

8)研究領域の内容
・ 3領域の研究は、5つの研究を17大学、6研究機関・78人体制でスタートしました。
  (北九州市内機関26、市外機関52人)
・ 研究内容については、テーマに沿った研究人材・取組内容の整理、目的に沿った外部からの
  人材発掘を行った上で、内閣府の技術革新シナリオに対応する形で体制を整えました。
・ それぞれの研究テーマは、
    研究領域1
     人の活動を効率化する省エネ・省資源の研究として、
     超省エネルギー型コンピューター及び超小型高効率電源用パワー・デバイスに関する研究
    研究領域2
     人の活動を支えるエネルギー・インフラ研究として、エネルギー供給システムの
    統合管理手法及び、CO
2分離回収・有効利用に関する研究
    研究領域3
     人が活動を展開する都市・社会システム研究として、働き方と生産システム及び、
     生活と社会システムに関する研究
・ それぞれの研究を進める中で、研究の拡がり、新たな研究者の参画が進みます。

9)実証研究
・ 研究と平行して、イノベーションの要となる実証研究についても4つのテーマを設定しました。
・ その内容は、下記のとおりです。
    ① 低炭素型モビリティシステムの構築
    ② 低炭素型インフラ・プラント長寿命化検証
    ③ 低炭素インテリジェント型環境空間システム
    ④ 音声分析を通じた健康管理による企業生産性向上

10)実証フィールド
・ 
最先端設備の共同利用の視点から、北九州の強みである「実証フィールド」について、調査、設計を
  行いました。
・ 実証フィールドは、研究が進める仮想モデル社会を、リアル社会につなげるもので、フィールドに
  おける人や企業等の活動、
  環境・気候、エネルギー、交通・物流等の実情報・データは、現実社会への技術・システム実装に
  欠かせないものです。
・ また、実証フィールドは、本プログラムの研究、事業化、人材育成、海外連携といった各ツールの
  内容を高め、各ツールのつなぎ役を担うものでもあります。

→ FS1:実施結果・達成状況 [11~19] はこちら