実施報告(平成27 ~ 28年度) と 今後の取り組み

 FSでは、事業構造の抜本的変更・世界的に新規性の高い研究開発活動の実施、また、社会実装の制度的課題解決への事業計画に向け、平成27年度後半から「スマート社会創造に向けたソーシャルイノベーション研究開発・実証の拠点」を掲げて開始しました。
 FS全体の進捗管理・指導助言のために設置した「北九州ソーシャルイノベーション機能構築会議」では、域外の有識者も参加し、北九州の強みを活用した「アジアをつなぐ環境創造リサーチコンプレックス」の再提案を行うことができました。
 北九州リサーチコンプレックス構想の様々な要素に関して、これまでの経験・ポテンシャルのレビューや国内外のトップレベルの取組みの調査・分析等を進め、多くの知見を獲得できました。また、北九州リサーチコンプレックスのテーマである「環境」に関して、従来の「技術」に加え、「人間」の視点を含め複合的アプローチの方策を見出し、より高い研究開発機能につながりました。さらに、規制という社会的課題解決への道筋を見出すとともに、将来の北九州リサーチコンプレックスの姿を描くことができました。

世界に誇るリサーチコンプレックスとしての要素
   ● 世界的な課題である「超低炭素社会構築」へのフォーカス
   ● 環境エネルギー分野におけるトップランナーとしての国内外の認識   
   ● 超低炭素社会実現に向けた人間科学研究の重点化
   ● 実証フィールドコミッションの設置と研究成果の都市政策への反映
   ● 環境エネルギー分野での世界とのネットワーク


 平成28年度後半は、再提案が不採択となったものの、今後の環境・エネルギー研究開発拠点として自立的に成長していけるよう、FSの内容を変更し、継続しました。拠点形成推進のためのマネージメント体制確立、エネルギーと人間に焦点を絞った事業推進研究活動の推進、実証フィールド基盤の整備、インタラクションを引き起こす「フューチャーセンター」の設置、国内外拠点とのプラットフォーム形成、そして、ブランディング戦略を含む平成29年度以降の戦略プログラム策定を行い、環境・エネルギー拠点の形成に向けた基盤整備を達成するためのスタートを切りました。
 取り組みを進める中で、各々の自立的な連携・融合が図られた結果、北九州におけるオールドテクノロジー(先端技術の基盤となる技術)からネイチャーインターフェイスまでの技術の集積、大学・市民・企業の専門人材の複層的な存在、行政・企業・市民の環境拠点活動の集積等が確認され、北九州リサーチコンプレックス構築に向けた取組みの進め方は、「地域に蓄積された基盤技術」、「第4次産業革命を見据えた先導研究」、「知的資本としての人間研究」の研究成果を次々と社会実装し、社会イノベーションを創出していく方向であることが整理され、関係者間の合意形成が図られたことと言えます。そして、国内外からの大学・研究機関の参加で開催した国際フォーラムで、国際的研究プラットフォームを形成し、北九州の拠点化をスタートさせました。
 平成29年度以降は、本年度の経験・成果を活かし、自立的に力強く北九州リサーチコンプレックスの構築を推進できることとなったと考えています。今後、国内外の研究開発・実証拠点と連携協力しながら、環境・エネルギー拠点の世界的拠点を目指します。