Vol.5 大陽日酸ATI株式会社

北九州市内の産学連携の推進を目的に、大学、研究機関、企業等で構成された北九州学術研究都市(以下、「学研都市」)。産学連携の「産業」を担う、企業や研究機関等も学研都市内の施設に入居されています。現在、学研都市に入居している企業や研究施設の皆様に、入居理由やメリット、現状などをうかがいました。

新社名と共に、グローバルな装置メーカーの地位を確立
TNSCイノベーションセンターひびきの」は産学が共存へ

2024年9月、北九州学術研究都市技術開発交流センターに開設した「TNSCイノベーションセンターひびきの」。大陽日酸株式会社の取り扱う先端設備を設置した体験型ショールームで、水を使わずに半導体ウェハを洗浄するドライアイス洗浄装置や水溶性金属ペーストを乾燥・焼結させて造形する金属3Dプリンターを用意しています。設備の見学をはじめ、デモ運転、装置性能などが確認でき、学生の研究にも利用されています。

Q. 入居のきっかけは

A. そもそも九州に装置を置いてショールームを開設する発想はなかったのです。きっかけは2024年に開催された西日本工業大学の半導体の講演会です。以前から親交のあった西工大の先生に誘われ、懇親会にも参加しました。そこで北九州産業学術推進機構の方に出会いまして、私自身が北九州出身ということもあり、地元の話題で意気投合する中、「九州の半導体を考えると、北九州学術研究都市で拠点を展開してみませんか」と提案をいただき、その後はトントン拍子に話が進みました。九州のユーザーは関東や関西に比べて少ないのですが、やはり今、九州は半導体で盛り上がっているじゃないですか、そこは何とかしたいと考えていたところだったんです。

Q. 学研都市・北九州市拠点のメリットは何ですか

A. ここにショールームがあることで九州のお客様にも学生さんにもアピールしやすいです。以前は、装置のテストには川崎の事業所までお越しいただく必要がありましたが、ここで装置の使用や見学ができるので、九州のお客様も(機密情報を含む)サンプルなどが持ち込みやすくなったと思います。近隣県から車で気軽に来訪いただけるようになり、具体的な商談スピードも加速しています。また、西日本工業大学の学生さんに装置を使ってもらっていることも大きなメリットです 。学生さんは、私たちメーカーのエンジニアが想定もしないような驚きの使い方をすることがあります。例えば、マニュアル通りではない操作によって装置が止まった際、それが製品の改良点になるので、貴重なフィードバックを得られます。さらに、学生のうちから当社の装置に触れてもらうことで、将来的な人材確保や業界の認知度向上にも繋がればと思っています。

Q. 大陽日酸ATIの強みとは

A. お客様の細かなニーズに対して、設計、製作、制御プログラムの作成等を一括して自社で行える点です。既製品をそのまま納めるのではなく、それぞれの工場の仕様に合わせたカスタマイズにも柔軟に対応しています。装置のボディカラーを変更することもあります。そうすることで、お客様の求めていることを肌で感じられ、今後の製品の開発や改善に反映できます。日本国内に留まらず、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国、マレーシアなど世界各国に製品を納入しています 。弊社のエンジニアは、言葉の壁があってもボディーランゲージや技術者同士の共通言語で、納品、調整、トレーニングまで完遂する力を持っています 。またガスを核としたアプリケーション、装置を手がけているのはグループ内でも当社だけであり、装置設計で培ってきた独自の制御技術で、グループ全体のDXにも大きく貢献しています 。

Q. 今後のビジョンを教えてください

A. 2026年4月、私たちは大きな転換期を迎えます。グループブランドを明確にするため、社名が「日本酸素(にっぽんさんそ)ATI」に変わります。これまでは日本酸素ホールディングス株式会社の直系であることが学生や外部から分かりにくい部分がありましたが、新社名によってリクルート力や信頼性をさらに高め、グローバルな装置製作メーカーとしての地位を確立していきます 。アメリカやヨーロッパのグループ会社も日本酸素という名前が入ります。また「TNSCイノベーションセンターひびきの」では、より幅広い工業製品に対応したペレット型のドライアイス洗浄装置の導入を今夏に予定しています。精密機械の汚れの洗浄など多様なものづくりの場面で使用できますし、小学校の理科の授業などに使っていただけると面白いとのではないかと思っています。設置している装置は自由に利用できるので、学研都市の学生の皆さんにもぜひ使っていただいて「こんな使い方ができないか」など提案してもらえるとうれしいですね。(2026年2月取材)

代表取締役社長 渕上慶太
大陽日酸ATI株式会社
https://www.tnati.tn-sanso.co.jp/jp/

北九州市出身で、学生時代はまだ北九州モノレールの駅が「平和通り」までしかなかったとき。モノレールが小倉駅に直結されたり、学研都市ができたり、折尾駅が変貌していたり、北九州の発展、整備に驚かれています。川崎の自宅近くにある「資さんうどん」は入場待ちのため、こちらに来るときに立ち寄っているそうです。
「TNSCイノベーションセンターひびきの」の各種装置は無料で見学・使用することができます。興味のある方はお問い合わせください。
お問い合わせ先:tnsc.innovation@sanso.co.jp