北九州市内の産学連携の推進を目的に、大学、研究機関、企業等で構成された北九州学術研究都市(以下、「学研都市」)。産学連携の「産業」を担う、企業や研究機関等も学研都市内の施設に入居されています。現在、学研都市に入居している企業や研究施設の皆様に、入居理由やメリット、現状などをうかがいました。
独立性を重視したシステム開発、装置設計を続け
インターンシップやスタートアップで新世代の育成を支援
2002年創業、完全独立型企業として、調剤薬局や病院向けのシステムから装置・機器までを自社で開発している株式会社Windy。現在は、インターンシップの学生などを受け入れ、次の世代のエンジニアの育成にも力を入れています。
Q. 入居のきっかけは

A. もともと八幡西区夕原の北九州市が管理する貸工場を拠点にしていましたが、5年間の入居期限を迎えるタイミングで北九州産業学術推進機構(FAIS)のコーディネーターから学研都市を紹介されました。共同研究していた早稲田大学が学研都市にありましたし、他にも共同研究していた企業が入居していたこともあり2012年に学研都市の情報技術高度化センターに入居しました。当時は薬局向けの「調剤過誤防止装置」や、「監査機能付お薬カレンダー自動作成分包機」の開発を進めていました。2年前に業務のパフォーマンスを上げようと広いオフィスのある事業化支援センターに移転し、現在は、画像処理技術に関する共同研究や有給インターンシップで、九州工業大学と連携しています。
Q. 学研都市・北九州市拠点のメリットは何ですか
A. やはり共同研究するには大学が近いというのは非常にいいと思います。当初の早稲田大学との共同研究もFAISに相談してつないでいただいて実現しました。また、ここは建物をはじめ共用施設や駐車場など設備も整っていますし、とても静かな環境で仕事もはかどります。清掃など管理も行き届いているので来客の際などに見栄えもよく(笑)、インターンシップの学生さんにとっても魅力的な場所だと思います。現在4名の学生に来てもらっていますが、彼らには、ドクターコースまで進んで自分のやりたいことにしっかりと打ち込むこと、またはスタートアップ(起業)することも考えてほしいと思っています。インターンでは彼ら全員がソフトを開発しており、開発したソフトは当社で販売します。これがある程度売り上げの見込みが立つようなら、ぜひ起業してもらって当社と一緒に事業をできたら、などと考えています。いずれも本人次第ですが(笑)。かつて共同開発をしていた早稲田大学の研究者とは、彼が別の学校に移っても今でもつながりがあります。このように人と人がつながり続ける場所にしたいと思っています。

Q. Windyの強みとは
A. 最大の強みは「完全に独立した企業」であるということ。今は下請けの仕事は一切やっていませんし、プログラムも機械装置も連動して作ることができる、全部自社で完結できます。また、顧客の潜在的なニーズを探して提案できることも強みだと思います。よく「現場の声が大事」と言われますが、これにこだわりすぎると偏った製品になり、他では売れないものになりかねません。普段から社員には「ニーズを探せ」と言っているのですが、当社では自分がおかしいと思ったことを基に汎用性のある製品を自社開発して「うちは独自に考えてこういうのを開発しました、いかがですか?」という提案型の営業をしています。昔、ある調剤薬局で患者さんに出す薬を間違えないように薬剤師が3人でチェックしていました。私は薬の監査は機械装置でシステム化した方がよいと考え、医療系のメーカーに持ち込んだところ「そんな装置は売れない」と言われました。ところが、別の装置メーカーの協力を得て実際に作ってみると、夜間1人体制の救急病院や、調剤をマニュアル化したかったチェーンの薬局に売れました。周りが反対しても世の中に出してみたら、自分の考えは正しかったんだと思うことができた瞬間でしたね。
Q. 今後のビジョンを教えてください
A. 弊社は創業時からのスタッフがほとんどなので、世代交代を確実にすること。そのために、他に真似できないものを作って、それを新しい柱にすることが今考えているビジョンです。その点では学生にも期待していますし、有給インターンシップも当面続けていきたいと思っています。その中から起業したい学生がいれば全力でバックアップします。今は医療系が中心ですが、分野にこだわるつもりはありません。また、情報を公開することも今後のテーマです。会社というのは情報を隠したがるのですが、そうするとその時点で発展が止まってしまいます。公開することで外の世界とつながり事業の規模を大きく広げていきたい。私が何年もかけて築いた「人の輪」を次の世代に繋ぎ、若い人がこの会社でしっかり食べていける状態を作る。それが私の考える事業の継続であり、世代交代です。(2026年2月取材) ※下記画像は2026年3月16日に開催された「インターシップの成果報告」の様子です
代表取締役 社長 中村 行延
株式会社Windy
https://windylab.co.jp/
中村社長は水産学部出身。大学卒業後は水産業、エビの養殖に22年間携わり、エビのウイルスを研究するために入った会社がたまたま調剤薬局も経営していたことが現職へのターニングポイントだったそう。「昔は金平糖のようにあちこちとがっていました」という中村さんは、今でも十分とがった発想と行動力で事業を進めています。
